よくよく考えたら今日は「父の日」なんだよなぁ・・・
とか思ったが両親は自分が物心付く前に離婚しているので、父の事で覚えているのは二つしかない。
一つは育ての親である祖父が亡くなった時の葬式の場で、数年ぶりに現れて「許してくれ！」と祖父の遺影の前で土下座をしていた姿。
子供心に「何を勝手な事を言っているのだろう」と思ったのを覚えている。
もう一つは父が亡くなる前日の事。
祖父の葬式の日以来父とは会っておらず、自分の頭から「父」の存在が消えていた頃、
ガンで入院しており長くは持たないので最後に会ってやってくれと連絡があった。
最初は固辞したものの、そこを何とかと頼み込まれ、まぁ仕方ないかと病院へ会いに行った。
そこで見た父の姿は弱々しく痩せ細り、抗癌剤の副作用により朦朧としていた。
そんな中でも父は約20年ぶりに姿を見せた息子をすぐに認識した。
前記したように副作用により朦朧気味なので会話らしい会話はできなかったが、
帰り際「また来るからおとなしく寝とけよ」と言ったオレに、弱々しく微笑んだ・・・ ような気がする。
翌日、父が亡くなったとの連絡が入った。
すぐに「あぁ・・・ オレが引導を渡したな」と思った。
葬式では何の感情もなかった。
肉親なのだが何も知らない人・・・ 戸籍上で「父」なだけで「アカの他人」に近い存在。
それが自分の中の「父」の全て。

父は幸せだったのだろうか？
それは誰にも判らない。

α55 + TAMRON AF17-50mm F2.8